国際離婚の手続き

離婚届を出す前に離婚協議書を作成する

離婚協議書を作成する

  1. 本国の法律で協議離婚が認められている
  2. 二人の間で子どもがいるが、親権に争いがない
  3. 養育費やその他の費用についても、支払うことを合意している
  4. 夫婦共有財産の分割に合意している
  5. まだ、二人の間に(間接的にでも)コミュニケーションが取れる状態であり、離婚協議書作成時にお互いが協力できる。

このような場合は、離婚届を提出する“前に”離婚協議書を作成しましょう。

 

離婚協議書を作成することのメリット

離婚届の記載欄にもあったように、夫婦間に子どもがいる場合に、子どもの養育費や面会交流の取り決めを結ぶことが、推奨されています。

また、一部の市町村で行われる未払い養育費の立て替えで、公正証書による離婚協議書(「離婚に伴う給付契約等公正証書」)や調停調書等を必要とします。

例-兵庫県明石市)*明石市のサイトが開きます

明石市は、以前から非常に画期的な取り組みを行っていますが、それでも、公正証書による離婚協議書か、離婚調停が必要です。子どもに「いくら養育費を支払うか」を確定していなければ、そもそも市が負担する養育費の建て替え額が計算できません。
また、この頃民間において「養育費保証」等の保証会社が出てきました。

例-養育費保証)*外部サイトが開きます

この養育費保証においても、加入する条件として公正証書による離婚協議書等が必要です。

そして、大阪市では1年以上の「養育費保証会社との契約」があれば、保証会社に支払う保証料の補助を大阪市に請求することができます。

例ー大阪府大阪市)*大阪市のサイトが開きます

このように、離婚協議書があることで出来ることが、少しずつ増えてきています。
ひとり親家庭の貧困が言われ、養育費の未払いを防ぐために自治体等の取り組みが少しずつ始まっています。
このような仕組みを通して、確実な養育費の受け取りが広がっていってほしいと思います。

「離婚協議書」に書く内容は何ですか?

離婚についてのあなたと彼の合意事項をまとめた文書が「離婚協議書」です。
もちろん、離婚について二人が協議し、合意した内容を契約書の形にするのですが、主に書く内容は以下の通りです。

  1. 双方が離婚に合意したこと
  2. 親権者の決定(子どもの親権をどちらにするか)
  3. 養育費 (未成年の子どもに対し、監護していない親が支払うお金)
  4. 面会交流(監護していない親が、子どもに会う時の取り決め)
  5. 慰謝料 (不倫や暴力等に対するお金)
  6. 財産分与(婚姻後の夫婦の財産を清算する)
  7. 年金分割に対する合意(年金をどのように分けるか)
  8. 通知義務(住所、勤務先等を変更した場合は、互いに通知する)
  9. 清算事項(この協議書以外のお金を請求しない)
  10. 強制執行認諾(お金の支払いがない、遅延しているときには、強制執行に服する)

もし、あなたの離婚協議書の内容が、金銭的なやりとりが全くない場合や、離婚前に一括して支払済で、それ以後の金銭的なやりとりがない場合は、離婚協議書のみの作成で大丈夫です。
双方にヒアリングをして合意した事項を、契約書の形で作成し、あなたと彼の印鑑を押せば終わりです。

 

注意離婚協議書原案の作成の受任にあたっては、あなたと彼の双方から、書類を作って欲しいという同意書が必要です。
(一緒に来る必要はありませんが、私がお二人それぞれに一度はお会いして、ヒアリングを行います)

 

「離婚協議書」と、「離婚に伴う給付契約等公正証書」は何が違いますか?

離婚後にお金のやり取りがない場合は、「離婚協議書」で大丈夫でしたね。
しかし、養育費や年金分割、分割払いによる慰謝料等、離婚後も相手からの支払いが続くときは「離婚に伴う給付契約等公正証書」を作成します。
それは、契約書に「強制執行認諾」を入れる必要があるからです。

第〇条
『本契約書に記載の債務履行を遅延した時は、直ちに強制執行に服する旨を陳述した』

契約書の末尾にそっとある一文ですが、ものすごくパワーのあるものです。

 

強制執行とは何ですか?

あなたの彼が、子どもの養育費を取り決めたにもかかわらず、支払ってくれないとします。
その時に、一カ月いくらと決めた養育費を、裁判所が彼の銀行口座を差し押さえて支払うようにさせる制度です。
通帳に「差押」と書かれて、いきなりその分の金額が引き落とされます。
ものすごく強い制度だけに、簡単に使えるわけではありません。これを可能にするために、あらかじめ手続きが必要です。それが「離婚に伴う給付契約等公正証書」です。

 

「離婚に伴う給付契約等公正証書」は、どのように作成しますか?

「離婚に伴う給付契約等公正証書」は、公証役場で作成します。
公証役場は法務省が管轄する役所で、全国に300か所程度あります。(どこに行っても構いません)
当職が受任する時には、上記の「離婚協議書」を原案として作成し、双方がこの内容に合意したあと、委任状を頂いて公証役場で手続きすることになります。
(公証人から、原案を訂正するように言われる可能性がありますので、ご了承ください)

離婚協議書の日本文、英文併記の書類作成を行っています。
ご相談、ご依頼等はこちらにお願いします。

連絡先:オリ行政書士事務所 080-5025-5021

次回は、国際離婚と子どもの親権について説明します。

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