国際離婚の方法

国際離婚で、どの国の法律を使用するかを、決定する

子の養育費、財産分与、慰謝料等

国際離婚における準拠法について

国際離婚で、離婚について決定するとき、あなたと相手の国籍の組み合わせによって、どの国の法律を使うかが決まっています。また、親権について決定するときは、子の国籍と、どちらか父母の国籍が一致した国の法律を使います。これを、準拠法といいましたね。

では、その他に離婚で定める事項について、準拠法はどうなっているのかを説明します。

子の養育費 (扶養義務の準拠法に関する法律)

子の養育費は誰が出すか? 養育費をいくらにするか?

未成年の子に対する養育費は、同居していない親が、子と同居している親に養育費を支払います。養育費は、法の適用に関する通則法により決定するのではなく、「扶養義務の準拠法に関する法律」によって、準拠法を決定します。

離婚や親権が、夫婦や子の国籍国の組み合わせによって、準拠法が決まったのと異なり、養育費については、養育費を受け取る子がどの国に住んでいるかによって、準拠法を決定するのが、大きな特徴です。

 

扶養権利者の住所
(子)
 扶養義務者の住所
(別居している親)
準拠法
日本 日本 日本法
A国
(B国籍)
日本
(B国籍 )
A国法(扶養を受けることができる場合)
B国法(A国法で扶養を受けられない場合は、当事者の共通本国法による)
日本(A国法でも、B国法でも扶養を受けられない場合は、日本法による)

日本に住んでいる子については、養育費につき日本法が適用されます。また、外国に住んでいる子の養育費ついては、その子が住んでいる国の扶養に関する法律を適用します。
物価のとても高い国で生活する子に、日本法で計算した養育費しか与えないのはおかしいし、物価のとても低い国で生活する子に、その国のレートで換算すると莫大な?お金を送るのも変ですから。

参考資料
扶養義務の準拠法に関する法律
(準拠法)
第2条 扶養義務は、扶養権利者の常居所地法によって定める。ただし、扶養権利者の常居所地法によればその者が扶養義務者から扶養を受けることができないときは、当事者の共通本国法によって定める。
2 前項の規定により適用すべき法によれば扶養権利者が扶養義務者から扶養を受けることができないときは、扶養義務は、日本法によって定める。

財産分与

夫婦の財産の分与は、離婚で定められている準拠法と同じです。

あなたの国籍 相手の国籍 適用する法律
(準拠法)
理由
日本 A国 日本法 夫婦の一方が日本に常居地を有する日本人だから
A国 日本
A国 B国 日本法 本国法が異なるので、常居地法を適用して、日本法になる
A国 A国 A国法 夫婦の本国法が同一であるので、A国の法律を適用する

 

慰謝料

慰謝料は、慰謝料を払わなければならない理由によって、準拠法が違います。
慰謝料が、離婚自体を理由とするものは、離婚で扱う準拠法と同じです。しかし、不法行為(暴行など)を理由とする慰謝料では、その不法行為が行われた地の法律(日本で行われれば、日本法)を準拠法とします。

参考資料
法の適用に関する通則法
(不法行為)
第十七条 不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、加害行為の結果が発生した地の法による。ただし、その地における結果の発生が通常予見することのできないものであったときは、加害行為が行われた地の法による。

 

二重国籍者の取り扱いについて

父母の国籍の違う子で、父母両方の国籍を持っている場合があります。その時は、「法の適用に関する通則法 38条」に従って、以下のように行います。
☑ 二重国籍のうち、いずれかの国籍が日本⇒日本法
☑ 当事者が同じ国に住んでいる国⇒住んでいる国の法
☑ 当事者が住んでいる国が違う⇒最も密接な関係がある国の法

参考資料
法の適用に関する通則法
(本国法)
第三十八条 当事者が二以上の国籍を有する場合には、その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国があるときはその国の法を、その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国がないときは当事者に最も密接な関係がある国の法を当事者の本国法とする。ただし、その国籍のうちのいずれかが日本の国籍であるときは、日本法を当事者の本国法とする。

まとめ

まあいろいろ難しいことを説明してきましたが、かなり大胆に言うと、あなたと子どもが日本人で、離婚に至るまで日本で暮らしていれば、離婚やお金に関する諸々のことは、全て「日本法」で解決します。

そして、まずは離婚と親権に合意できたら、とりあえず離婚できます。
この2つに合意できなければ、調停は不成立となり、裁判するしかないです。
また、その他の離婚に伴う条件(養育費や財産分与や面会交流、慰謝料など)にどうしても折り合いがつかない場合も、同じく裁判するしかないです。

国際離婚で、裁判により離婚する につづく

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