国際離婚の手続き

国際離婚と子どもの親権について

離婚届で子どもの親権の欄が未記入の場合は、離婚届を受理してもらえません。
つまり、離婚届を提出する前に、子どもが未成年で未婚の場合、親権は必ず決定しておかなければなりません。
(日本法は、共同親権は認められておらず、単独親権となります)

また、離婚協議書や離婚調停、離婚裁判において一番問題になるのが、この子どもの親権争いです。

 

親権とはなんですか?

国際結婚で生まれた子どもの親権は、父母のいずれかと子どもの国籍が同じ場合、子どもの国籍によります。
日本人と外国人の父母で、日本にいる子どもについては、子どもが日本国籍を保有していますので、親権の決定を日本の法律に基づいて行います。

海外で子どもを出生した時に、国籍の留保をしなかった場合を除きます。
ここでは父母のいずれかが日本人で、子どもが日本人であるとして、日本法を適用する場合について記載します。

 

親権とは、以下の3つの権利があります。

  1. 身上監護権(子供と身の回りの世話や教育をすること)
  2. 財産管理権(子供の財産、預貯金等を管理すること
  3. 法定代理権(子供に代理して、契約等を結ぶこと)

通常、親権はこの3つの権利を全て持ちます。
日本人同士の離婚では、子どもが幼いときは母親が親権を取得するケースが多いです。
父親が親権を取得するのは、母が養育に適していない場合などに限られます。

 

親権に対する考え方は、国によって異なる

日本の法律では、あなたか彼のどちらか一方だけが、子どもの親権を取得します。
これを、「単独親権」と言います。しかしながら、この考えは各国共通ではありません。
アメリカ、ヨーロッパなどの国の多くで、「共同親権(両方の親が親権を持つ)」となっています。
子どもは、その時の状況に合わせて、父と母の間で行ったり来たりするのが当たり前だったりします。
そのため、離婚をすると親権がなくなり、子どもと簡単に会えなくなる日本の単独親権の制度に対し、外国人の彼が非常に反発することがあります。

 

親権と養育権を分けるやり方もある

国際離婚で、子どもの親権を外国人が持っている場合は、「日本人の実子を養育する親」として、離婚後の在留資格の変更が有利になります。
特に、日本人男性と外国人女性の離婚では、夫婦間で生まれた幼い子の養育を外国人の母親がするケースが多いため、そのままだと親権が外国人親になってしまいます。
故に、激しい親権の取り合いになることがあります。その際に、親権と(身上)監護権を分離し、親権を日本人親、監護権を外国人親にすることもあります。
親権でもめてしまったら、弁護士さんの出番ですね。非常に強い感情的な争いになるので、それは仕方がないかなと思います。

 

親権の途中からの変更は可能ですか?

離婚時の親権の決定は、離婚届のチェック欄の記入だけで済みますが、一度決めた親権を変更する場合は、家庭裁判所に親権変更の調停を申し立てる必要があります。
つまり、家庭裁判所の判断がないと、親権が変更できません。

親権者が重篤な病気になった時など、やむを得ない事情があれば別ですが、原則として裁判所は子どもの環境が変わることをよく思わないため、親権の変更が認められるケースは少ないです。
それ故に、離婚の段階でしっかりと話し合い、親権者を決定することがどうしても必要です。

 

次回は、養育費について説明します。

 

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